終わりの指先

標準を合わせ、的を絞り、引き金に指を掛ける。
祈る気持ちなどとうに捨ててしまった。


それは生きるために選んだ選択肢。
奴が死ぬか、俺が死ぬか。
それが生み落とされたこの世界からの最初の問い。

俺は選んだ。ただそれだけの事だ。
何に許しを請う事も無い。誰に向けた言い訳もない。
俺自身が、俺自身のために、命を掛けて選んだ答えだ。

華やかな音楽が聞こえる。
余所行きの衣装を纏った娼婦が笑う。
誰もが幸福そうな、しかし変に整いすぎた催し。

数秒後、この指が全てを変えるのだ。


標準を合わせ、ゆっくりと確実に引き金を引く。
悔いる気持ちなどとうに捨ててしまった。
かなり昔に描いたもの。
殺伐とした漫画をいつか描きたいなぁ…と去年くらいから思っているのですが
なかなかまとまらずうだうだして気付いたら出来ていました。